秒針が止まって見える現象「クロノスタシス」とは|目と脳の錯覚

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秒針が止まって見える現象「クロノスタシス」とは|目と脳の錯覚

公開日: : 最終更新日:2018/04/27 知識・お役立ち

秒針 止まって見える クロノスタシス

ふと時計を見たとき「あれ、今秒針が一瞬止まってなかった?」と感じたことはないでしょうか?

自分だけ?と思われるかもしれませんが、この現象は誰にでも起こりうるものであり、原因もハッキリと解明されています。

いったいなぜこんな現象が起きるのか、その原理についてご説明しましょう。

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秒針が止まって見えるのは何故?

秒針が止まって見えるのは何故?

ふと時間が気になって時計を見た際、まるで秒針が1秒以上止まっているかのように感じた経験がある方は結構多いと思います。

この現象はクロノスタシス(Chronostasis)と呼ばれるもので、人間の目と脳のメカニズムによって引き起こされる錯覚現象です。

人間の目の動き「サッカード」

このクロノスタシスを説明するには、まず人の眼球の動きを理解する必要があります。

人の目というのは、たとえ視線を固定してじっと動かない状態であっても、実は絶えず微細な動きを繰り返しています。

この動きのことをサッカードといいます。
(サッケード、サッカード眼球運動などとも呼ばれます)

人間の目は「映像を高解像度で捉えられる」「色や形などを分析する能力が高い」といった特徴がありますが、これは中心部分のごく狭い範囲のみに限った能力です。

眼球には、サッカードのように素早く視線を動かす能力があるため、次々と物を中心に捉えるように眼球を動かして、「範囲が狭い」という弱点を補っています。

こういった眼球の動きは、文章を読む時などに特に顕著に表れます。

文章を追って左から右へ動いたり、次の行の頭に高速で視線が移動したりと、人の目は我々の想像以上にとても高速で動くことが可能なのです。

サッカードは、最高で1秒間に5回ほど行われることもあり、我々が流れるように物を見ることができるのは、こうしたサッカードの動きがあるおかげなのです。

脳の映像処理は最適化されている

人間は、目で捉えた映像を脳に送り、脳で映像を処理して物を見ています。

サッカードの最中、つまり目が動き続けている最中であっても、脳にはリアルタイムで映像が送られ続けています。

しかしこの時、実は脳は送られた映像をすべて処理しているわけではありません。

脳は、目が動いている最中の映像、すなわちサッカード中の不鮮明な映像は意図的に無視して目が止まった時の鮮明な映像のみを繋ぎ合わせて認識しています

なぜこんな処理をするのかというと、すべての映像を使うと視界が安定していない映像が混ざりこんでしまうため、物を正確に見ることができなくなってしまうからです。

いわば、動画編集ソフトのように、早くてブレている映像はカットして、ブレていない映像のみを繋ぎ合わせて動画を作成している感じです。

しかし、この処理を行えば、当然目が動いている間の映像がごっそり抜けてしまうため、本来であれば映像は途切れ途切れの不自然なものになってしまうはずです。

しかしそうならないのは、目が停止した後の鮮明な映像を過去に遡って適用し、カットした時間分をその映像で埋め合わせるという処理をしているからです。

我々の脳は、物事を正確に捉えることに特化し、あえて「無駄な映像を切り捨てる」という最適化を常に行っているのです。

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最適化によって生じるラグが錯覚を生む

クロノスタシスは、この目の動きと脳の映像処理方法によって生じる錯覚のことです。

時計に視線をうつした際、脳は目が動いている間の映像を無視するため、その間に秒針が動いた部分についてはカットされてしまい、我々は認識することができなくなります。

そして、目の動きが停止してはっきりと秒針を捉えたら、その映像を使って抜けていた時間の映像の穴埋め処理を行います。

この「映像の穴埋め」によって、秒針が1秒以上止まっているように感じられてしまうのです。

たとえ目が秒針の動きを捉えていても、脳の映像最適化の段階で切り捨てられてしまうというわけですね。

これが、クロノスタシスという錯覚が起こる理由です。

普段は知覚できないだけの現象

メカニズムを知ればわかりますが、「映像の穴埋め」という行為自体は、誰の脳内でも行われている至って普通の現象に過ぎません。

しかし、「時計の秒針を見る」というタイミングぐらいしかこの現象は知覚できないため、普段は気付かずに生活しているだけなのです。

我々は普段リアルタイムに世界を見ているように感じていますが、実際には多くの映像が脳によってカットされており、そのおかげで世界を鮮明に見ることができています。

私達が知覚している世界の姿というのは、脳がうまく映像を補完して作った、さながら映画のようなものだといえますね。


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