ケニア人は石を食べる&しゃがめないけど腰痛にならない?その理由とは
最近では、日本のマラソン大会でもケニア人の選手をよく見かけるようになり、「ケニア人=マラソンが強い」というイメージの人も多いことでしょう。
そんなアスリート選手の多いケニアの方々ですが、「石を食べる」「しゃがめない」といった、一風変わった風習・特徴があることをご存知ですか?
これらの情報の真偽とその理由について、見ていきたいと思います。
ケニア人の妊婦は石を食べる?
ケニアでは、妊娠した女性が石を食べるという驚くべき風習が今も存在しているといいます。
昔から、妊娠した女性というのは不足した栄養素を補うために食べ物の好みがガラッと変わったり、普通食べないような物にまで食欲を抱いてしまう場合があるといわれています。
ケニア人女性の場合、妊娠してから「石を食べたい」という衝動に駆られる人が多いのか、ある調査によるとおよそ89.8%もの女性が、妊娠した後に実際に石を食べたことがあると回答しています。
石といっても、その辺に落ちている石を食べているというわけではなく、市場の露店で売られている「食用の石」を食べます。
ケニアでは「妊婦が石を食べる」という文化はいたって普通のことのようで、市場へ行けば食用石の販売店が堂々と出店しており、誰でも買うことができます。
お店で売られている石は「オドワ」と呼ばれる軟質の石です。
どちらかというと石というより土に近いといわれ、ジャリッとした感触で味は特になく、別段おいしくはないとのこと。
妊婦が石を食べるのは、不足したカルシウムやミネラル・鉄分を補給するためだそうですが、産婦人科の医師は「寄生虫に感染するリスクや、病気になるリスクがあるからやめたほうが良い」と警鐘を鳴らしています。
昔の風習が今も残っているという感じで物珍しいですが、やはり健康に良いわけではないようですね‥‥
しゃがめないけど腰痛がない?
しゃがめない理由とは?
日本では腰痛に悩んでいる人がとても多く、およそ3人に1人が腰痛の経験があるといわれています。
しかし、そんな日本人とは裏腹に、ケニアのマサイ族と呼ばれる人々は腰痛になることがないそうです。
マサイ村では毎日の日課として水汲みがあり、女性は毎日20kgを超える水を運ばなければなりません。
そんな重労働をしていれば、当然腰には相当な負担がかかっているはずですが、それでもマサイ族では腰痛を訴える人はほとんどいません。
なぜこれほどの差が生まれるのかというと、前屈の際の腰の使い方がまったく違うからです。
日本人を含む多くの国の人々は、重い物を持つ際に腰全体を曲げて一度「しゃがむ」という方法をとります。
横から見ると、背中から腰にかけてゆるやかに曲がった状態になるということです。
こうした前傾姿勢というのは、背骨の腰の部分にあたる腰椎に負担がかかってしまうため、腰痛を引き起こすことが多くなります。
しかしマサイ族はというと、腰を曲げずに股関節を曲げる形で前傾姿勢をとることができるため、いわば「しゃがむ」という動作自体をせずに物を持ち上げることができます。
横から見た場合、背中から腰までが真っ直ぐのまま前傾姿勢になっており、腰ではなく股関節で上体を支えています。
この股関節を使った前傾の方法は、前屈しても腰椎に負担がかからないため、腰を痛めることもなく腰痛は起こらないのです。
こうした前傾姿勢が基本であるため、日常生活では腰を深く落とすという動作をあまり行いません。
マサイ族の人々は「しゃがめない」というよりも、「しゃがむという動作をしない」と言ったほうが正しいでしょうね。
マサイ族の前屈方法は習得可能?
このマサイ族の前屈方法を使うことができれば、日本人でも腰痛を解消できそうな気がしますが、実はそう簡単でもありません。
実はこうした前屈方法の違いは、生まれつきの骨格の違いが大きく影響しているからです。
マサイ族の人々の場合、股関節が非常に柔軟なうえ、こうした前屈方法に適した骨盤を持っています。
いわばマサイ族は、この前屈方法を行うだけの身体能力と機能を生まれつき備えているというわけです。
日本人の場合、骨盤がこの方法に適さないうえ、腰の負担に耐えられるだけの強靭な下半身を作らなければいけないため、習得にはかなりの苦労を強いられます。
一応日本人でも習得できないことはないそうですが、しっかりとした知識を持ったトレーナーなどがいないと厳しいです。
なお、こうした腰痛に強い骨格というのは、ケニア以外にもガーナやタンザニア、ネパールなど、アフリカのいくつかの国で確認されており、ケニアだけの専売特許というわけではないようです。
ケニア人はマラソンが非常に強い人種ですが、もしかしたらこうした骨格や股関節の柔軟性も、マラソンに強い理由のひとつなのかもしれませんね。