蚊で緑色なのはどんな種類?生態と人体への悪影響・対処法について
夏が近づいてくると蚊に遭遇する機会が増えてきますが、ときどき薄い緑色をした蚊を見かけることがあります。
壁や網戸などによくとまっているほか、家の中でもよく見かけるこの生き物はユスリカと呼ばれる虫です。
ユスリカは一見ただの色違いにしか見えませんが、蚊とは少し生態が異なるため、別の意味で注意が必要となります。
ユスリカの生態と人間の体への影響について、この機会に詳しく知っておきましょう。
緑色の蚊のような虫「ユスリカ」
出典:廊下のむし探検
ユスリカは漢字では「揺蚊」と書き、幼虫が水中で体を揺するように動かすことに由来しています。
ユスリカの幼虫は赤いことから「アカムシ」と呼ばれ、釣りの餌や金魚の餌などとして広く使われています。
幼虫であるアカムシは、川や水辺・ちょっとした水溜りなどに生息するなど、基本的に蚊やボウフラの生態と同じです。
成虫は薄い緑色をしていることが多いですが、ユスリカの種類は日本だけでもおよそ2000種類とかなり多く、緑以外にもさまざまな色をしている種類が存在します。
蚊とは少し生態が異なる
ユスリカと蚊の生態には、2つの大きな相違点があります。
まず1つ目に、ユスリカは一般的な蚊とは異なり、刺したり血を吸ったりする習性を持っていません。
血を吸うどころかユスリカの成虫にはそもそも口が存在せず、消化器官も退化してしまっており、一切食事をとることがありません。
そのせいか寿命は1日~数日と非常に短く、"産卵のためだけに成虫になる"というセミとよく似た儚い生態をしています。
部屋の中に出没しても刺される心配がないので、蚊ほど神経質になる必要はないといえます。
そして2つ目に、ユスリカは群れをなして蚊柱を形成するという点が挙げられます。
夏の夕暮れ時などになると、電灯の周りや河川敷などに小さな虫の大群がブンブンと塊で飛んでいるのをよく見かけると思います。
あの群れを構成している虫こそがユスリカであり、たくさん集まることによって柱のように見えることから蚊柱(かばしら)という名前がつけられています。
なぜユスリカが蚊柱を形成するのかというと、メスの結婚相手を探すためです。
蚊柱を構成しているのはすべてオスのユスリカであり、メスは基本的に単独で行動しています。
蚊柱に寄ってきたメスはその中に飛び込み、結婚相手をうまく探し出すことができたら、2匹で群れを離れていきます。
セミがミンミン鳴いてメスに居場所を知らせるように、ユスリカは群れで蚊柱を形成することでメスが相手を探す場所を作っているのです。
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ユスリカが人間に及ぼす影響
ユスリカは人を刺すわけではないので、蚊のように病気の媒介となる恐れはありません。
しかし、そんな無害とも思えるユスリカであっても、完全に人体に影響しないわけではないので注意が必要です。
アレルギーを引き起こすことがある
ユスリカを叩いて潰したりすると、その死骸が細かく砕け散って舞うことになります。
これを吸い込むと、人によってはアレルギー症状を引き起こしてしまうことがあります。
ユスリカを抗原として起こる症状は、
・アレルギー性鼻炎
・喘息
などがあり、ユスリカが大量に発生する地域などではユスリカ喘息などと呼ばれることもあります。
ユスリカは明かりに寄ってくる性質があるため、真夏の深夜のコンビニ前や、外灯の真下などには、ユスリカの死骸が大量に落ちて溜まることになります。
こういった場所は死骸を吸い込む可能性が高くなるので、アレルギーを起こしやすい方はなるべく近づかないようにしてください。
また、川の近くにある家屋やマンションなどでは、水辺のない地域に比べてユスリカが家に侵入してくる可能性が高くなります。
洗濯物などに付いてきた場合、うっかり潰してしまうと洗濯物に付着するので、うまく追い払ってから洗濯物を取り込む必要がでてきます。
ユスリカが出るシーズンは、日常のいたるところで吸い込む可能性があるので、アレルギー体質の方にとっては、ある意味蚊よりも厄介な存在かもしれません。
蚊柱に突っ込まないように
ユスリカは、周りよりも少し高いところを飛びたがる習性があり、蚊柱は人間の頭ぐらいの高さにできることが多いです。
そのため、運が悪いと蚊柱に顔から突っ込んでしまうことがあるほか、うっかり近くを通ると反応して付いてきてしまうことがあります。
血を吸われたりしないとはいえ、ユスリカが目や口に入ることもあるので、蚊柱にはできる限り近づかないようにすることが重要です。
特に、自転車に乗っていたり歩きスマホをしているとうっかり突っ込みかねないので、ユスリカの発生時期である春~秋の間は、前方への警戒を怠らないようにしましょう。
どうしても回避できない所に蚊柱がある場合には、できる限り体勢を低くして刺激しないようにさっさと通り抜けてしまいましょう。
通学・通勤ルートに川辺や森などがある場合には、虫除けスプレーを使うのも有効です。
ユスリカへの対策と駆除方法
建物への侵入を防ぐ
ユスリカは蚊と同じようにどこからでも部屋に入ってくるので、建物への侵入を極力防ぐようにすることが重要です。
暑さ対策で窓や扉を開けっぱなしにする場合には、必ず網戸を設置して虫が通れないようにしておきましょう。
また、外灯などの明かりがある場所には、それだけユスリカが集まりやすくなってしまいます。
玄関先や庭にライトが設置してある場合には、防虫用のカバーをつけたり、防虫ライトなどに変更しておくのがおすすめです。
幼虫が湧かないようにする
蚊への対策でも同じことが言えますが、ちょっとした水溜りや容器に溜まった雨水などがあると、それだけユスリカが湧きやすくなります。
雨水などが溜まりそうなものは極力撤去して、幼虫が繁殖できる場所を可能な限り少なくすることが大切です。
また、側溝や水路などが近くにある場合には、そこが繁殖場所になっていないかよく確認しておくのが望ましいです。
幼虫が発生している場所を見つけたら、定期的に清掃を行うなどして、幼虫が長く留まれないような環境にしておきましょう。
退治する場合には
家の中に入ってきた場合、追い出すのはなかなか難しいため、退治してしまうのが手っ取り早いです。
ただし、蚊のように手で叩いて倒すと死骸がホコリとなって飛び散るので、殺虫剤を吹きかけた後に、下に落ちたユスリカをティッシュでくるんで捨てるのがもっとも確実です。
使用する殺虫剤は基本的に蚊と同じものを使えばOKで、よほど大量に発生していない限りは、キンチョールなどで十分対処することができるでしょう。
蚊取り線香なども対策として有効なので、蚊も一緒にやっつける感じでうまく活用していきましょう。
数が多くて夜中に窓にびっしり付くような場合には、下記の商品のようにあらかじめ窓にスプレーしておくタイプのものがおすすめです。
まとめ
ユスリカは非常によく見かける虫であり、発生数が多い地域では蚊よりも頻繁に遭遇することがあります。
蚊ほど迷惑な存在ではありませんが、人によってはアレルギー症状の引き金となるため、軽く見ていると痛い目に遭うかもしれません。
特に、川や水辺が近くにあると遭遇しやすくなるため、家に侵入されないためにも網戸などを使ってきっちりガードしておきましょう。
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