『マンセル要塞』イギリス近海に浮かぶ第二次世界大戦遺物の廃墟
4月20日に放送される「世界の何だコレ!?ミステリー」の中で、イギリスの近海に浮かぶ謎の建造物が取り上げられるようです。
錆びれた不気味な建物が海に浮かんでいるそうなのですが、その正体はいったい何なのでしょうか?
気になったので、調べてみました。
海に浮かぶ廃墟
テムズ川の河口から船で1時間半ほど沖合いに行ったところに、不思議な廃墟のような建物が浮かんでいます。
出典:廃墟検索地図
これは一体何かというと、「マンセル要塞」という海上に築かれた要塞の廃墟です。
第二次世界大戦の真っ只中の1942年、イギリスは自称していたシーランド公国という人工島を防衛するため、テムズ川やマージー川の河口に、これらの要塞を築きました。
要塞の名前は、設計者である「ガイ・マンセル」の名前にちなんでいます。
テムズ川の河口には、ノア、レッド・サンズ、シヴァリング・サンズの三つの要塞があり、上記の写真はレッド・サンズ要塞のものです。
対空防衛のために建造された要塞であり、中央制御塔と連結する歩道を備えた7つのタワーで構成され、制御塔を囲むように配置された5つの砲台によって成っています。
戦時中は、150~300人ものイギリス海軍兵員が、常時駐留していたそうです。
それぞれの要塞が、QF3.7インチ高射砲とボフォース40mm機関砲を備えていたとされ、大戦中には30回の空襲をくぐりぬけ、22機の航空機がこの要塞によって撃墜されました。
役目を終えた後
1950年には、砦としての役目を終え、この要塞は放置されることとなります。
しかし、1953年にはノルウェーの船舶が誤ってこの要塞の1つと衝突する事故が発生。
そのまま放置することは危険と判断されたため、いくつかの要塞が解体されることとなります。
また、1960年代の半ばには、海賊放送を行うラジオ局に不法占拠され、海賊放送の拠点となっていたこともあります。
結局、1967年に政府が強制撤去するまで、海賊放送は続けられました。
2005年の8月には、アーティストの「Stephen Turner」が、芸術活動と称して6ヶ月間、要塞の1つで過ごしたこともあります。
現在の姿は
老朽化し、今も海の上に浮かんでいるマンセル要塞ですが、現在はこの要塞を維持させるプロジェクトが発足中とのことです。
一部の砦は居住スペースとなっており、再整備することで、海洋生物学者の研究拠点として再利用されることが期待されています。
立ち入りに関しては特に規制されているわけではないので、観に行くこともできるそうですが、波が穏やかでなければなかなか近づくことができず、容易に見に行ける場所ではありません。
実際に内部を撮影した動画がありますので、そちらを見れば、どんな場所なのか雰囲気だけでもわかっていただけるかと思います。
まとめ
廃墟となった場所は世界中いろいろとありますが、海上にある廃墟というのはかなり珍しいですよね。
戦争のために作られた施設が、今ではどこか哀愁を漂わせる場所となっているのですから、時代の流れを感じます。
今となっては貴重な場所ですので、ぜひ後世にも残していってほしいものです。