サイコロの一番出やすい目とその理由 & 5万円するサイコロ
4月22日に放送される「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」の中で、「サイコロの一番出やすい目」について取り上げられるようです。
サイコロの目はすべて1/6の確率で出現すると思っていましたが、果たして出やすい目なんてあるのでしょうか?
いったいどういうことなのか、探ってみたいと思います。
確率の偏り
すごろくなどの卓上遊戯で使われる6面体のサイコロ。
数学などの確率の問題では、どの面が出る確率も等しく「6分の1」だとされていますよね。
しかし、一般的に売られているサイコロの場合、出目の確率にわずかですが偏りがあります。
では、サイコロの目の中で、もっとも出やすいと考えられる数字は何なのか?
答えは「5」です。
なぜ5が出やすいのか?
市販のサイコロの場合、まず六面体を作り、その後に各面に数字を彫って作ります。
数字が大きくなるほど、彫って削られる部分が多くなるため、それぞれの面は重さが微妙に異なり、それにより重心に若干のズレが生じます。
市販のサイコロの大部分は、1の面の目が大きめに彫られていることを考慮すると、1,5,6の面は比較的軽く、2,3,4の面は多少重いということになります。
実際に8ミリ四方のサイコロでそれぞれのくぼみがどれだけ彫られているか計算したところ、1は8.9mg、2は2.1mg、3は3.5mg、4は3.8mg、5は8.4mg、6は7.9mgでした。
出典:トリビアの泉で沐浴
上記の数値を見ると、意外なことに、6の面よりも1と5の面のほうが彫られた量が多く、その分軽くなっています。
軽い面のほうが上になりやすい傾向がありますが、出やすさを考える場合には、単純に面の軽さだけでなく、裏面の重さも加味して考える必要があります。
サイコロは1⇔6、2⇔5、3⇔4がそれぞれ対面になっていますが、注目すべきは表と裏の重さの差です。
1と6の差は0.3mg、2と5の差は6.3mg、3と4の差は1.0mgとなっており、2と5の差がもっとも大きくなっています。
軽い面と重い面が表裏になっている場合、その重さの差がひらいているほど、重い面が下に、軽い面が上になりやすくなります。
単純に面の軽さでいえば、5よりも1の面のほうが軽いのですが、1の裏面である6の面も比較的軽い面なので、2と5に比べると重さによる差は小さくなります。
よって、サイコロを振った場合にもっとも出やすいのは、軽い面であり、且つ裏面がもっとも重い面である「5」ということになります。
差は微々たる物
とはいえ、確率の差は極々小さなものであり、少ない試行回数ではほとんど差は出ないと考えていいでしょう。
サイコロの場合、投げ方や床の材質など他の要素も絡んできますし、まったく同じ条件下で、数十万・数百万回振って、やっと差がでるかどうかというレベルの話です。
ちなみに、市販のサイコロを使った場合に5が出る確率は、およそ16.72%と言われています。
5万円の高精度サイコロ
5が出やすいというのは、市販のサイコロの場合であり、彫る部分の重さの差をなくすことができれば、確率の偏りを減らすことが可能です。
カジノで使われるダイスなどは、目を彫った後、素材と同じ比重の塗料を埋め込むことで差をなくしたものを使用します。これをプレシジョン・ダイス(精密ダイス)と呼びます。
プレシジョン・ダイス出典:アンツル
また、目を彫るのではなく塗装のみで形成すれば、重心のズレを防ぐことができます。
なお、技術力をフルに使い、極限まで理論値に近づけたダイスも存在しますが、そのお値段はなんと5万円over!!
こんな高いサイコロを買ったとしても、そんな精密性が役に立つ場面はあるのでしょうか‥‥
まぁ、メーカーが全力で確率に挑戦したというロマンの証みたいなものでしょうね。
まとめ
たとえ知っていたとしても、体感できるような差を感じることはおそらくないでしょう。
限りなく近いものはできても、完全なものを作るのはまず不可能と言われている乱数や真球などと同じく、完全な確率のサイコロもまた夢の世界の話なのかもしれません。
たとえ数字上では1/6であっても、現実は数字みたいに上手くいかないということですね。