ラッコが貝ばかり食べている理由|泳ぎ下手&潜水時間の短さが弱点
2月14日に放送される「ありえへん世界」の「大の大人が答えられないと恥ずかしい新常識」のコーナーの中で、「ラッコが貝ばかり食べている理由」という話題が取り上げられるようです。
ラッコといえば貝ばかり食べているイメージはありますが、貝を食べなければいけない事情がラッコにはあるのでしょうか?
ラッコの生態から、貝ばかり食べる理由について探ってみたいと思います。
ラッコが貝ばかり食べる理由
ラッコといえば、プカプカ浮かびながらお腹の上で貝を「コンコン」やっているイメージが強い生き物です。
思い返してみても、ラッコが魚を捕まえてむしゃむしゃ食べている映像というのは、ほとんど見た記憶がありません。
つまり普段から「貝ばかり食べている」わけですが、実はそれにはれっきとした理由がありました。
貝を食べなきゃいけない理由
ホタテやウニなど貝には高級な食材が多いためか、ラッコは「グルメな動物」のようなイメージを持たれることがあります。
しかし実はそうではなく、ラッコにはそうせざるを得ない事情があります。
その事情というのは、海の生物としては珍しく、ラッコが「あまりにも泳ぎが下手すぎる」という弱点を抱えていることです。
泳ぎが下手なせいでほとんどの魚に逃げられてしまうため、魚を主食にするのは無理があります。
とはいえ、生きていくためにはどうしても自力でとることのできる食料が必要になります。
そのため、ラッコはやむを得ず、簡単に取ることのできる貝を主食として食べているのです。
海の生き物らしからぬ性質
ラッコの泳ぎがどのぐらい下手なのかと言うと、眠っている間に潮に流されて遭難してしまったり、毛づくろいを怠ってしまったせいでうまく水に潜れずに溺れてしまうこともあるほど。
眠る時は、流されて遭難しないようにあらかじめ海藻を体に巻きつけてから寝るなど、「本当に海の生き物か?」と思うような弱点がとにかく多いのです。
ラッコの潜水時間は、およそ「1分から2分程度」と言われており、これは他の海の生物と比べても圧倒的に短い潜水時間です。(アザラシなどは10分~20分程度)
海に住む生物である以上、餌は自分で水中に潜って取らなければならないのですが、こんな短い潜水時間ではとても魚を捕まえることなんてできません。
素潜りに長けているベテランの海女さんであれば、およそ5分以上は潜り続けられるそうなので、ある意味人間よりも泳ぎが苦手と言ってもいいでしょう。
また、ラッコは皮下脂肪が極端に少なく、体温を維持するためには1日に体重の1/4もの餌が必要になります。
そういった事情からも、ラッコにとっては、食料の確保は命に関わる問題であり、何とかしなければなりませんでした。
そこでラッコは、魚とは違って簡単に捕まえることができる「貝類」を主食とすることを選んだのです。
貝を割るための進化
ラッコの代名詞といえば、仰向けで貝を割る仕草ですよね。
実は自然界のラッコは、それぞれが貝を割るためのお気に入りの「マイ石」を所持しています。
貝が主食なのですから、「貝が割れない」という事態はラッコにとっては絶対避けるべきものであり、そのためには石が欠かせません。
石を常に所持しておくために、ラッコの体には石をしまっておくことのできる「ポケット」が存在しています。
ラッコの脇の下には皮膚がたるんだ場所があり、食事時以外には、自分専用の石をそのポケットにしまっておきます。
このポケットは石をしまう用途以外にも使用でき、食料の保存に使ったり、遊び道具を入れておくこともあるそうです。
進化の過程で身に着けた、いわばハムスターの頬袋のようなものですね。
まとめ
潜水時間で言えばラッコは人間にも劣るというのは、かなり意外な事実でした。
ラッコの可愛さばかりに注目しがちですが、見た目とは裏腹にかなり弱点が多く、シビアな生き方をしている動物なことがわかります。
いまひとつ海の生き物らしからぬラッコですが、こういった抜けた面が多いのも魅力のひとつかもしれませんね。
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