ポカリスエットは英語だと変な訳になってしまう?海外展開への影響
ポカリスエットといえば、日本人なら誰でも知っているほど知名度の高い商品ですよね 。
実はこのポカリスエットという名前、日本人には馴染み深いものですが、英語圏においては衝撃的な商品名として知られているそうです。
ポカリスエットという名前が外国人の目にはどう映っているのかについて、解説していきたいと思います。
ポカリスエットの英語訳について
英語圏では衝撃的なネーミング
ポカリの英語表記は「POCARI SWEAT」。
これを英語圏の人が見ると、なんと
「ポカリさんの汗」
という名称に受け取られてしまいます。
しかも、汗というのは爽やかな意味合いよりも、「汗臭い液体」というイメージのほうが強いというおまけつき。
なぜこんなひどい訳になってしまうのか、ひとつずつ見ていきましょう。
POCARIとは、爽やかな青空を彷彿とさせる響きと語呂の良さで決められた造語であり、特にこれといった意味はありません。
SWEATは、英語で汗を意味する単語であり、「汗で失った水分の補給」というコンセプトに合わせて選ばれた言葉です。
これを直訳すれば「ポカリの汗」となりますが、これを英語圏の人々の感覚で読み解くと、意味がひどいことになります。
まず、POCARIは意味不明な単語なので「人名」と勘違いされます。
そして、SWEATという単語は汗を意味するものの、英語圏ではどちらかというと「汗臭い」というイメージが連想される単語です。
(上品な意味での汗はperspiration)
その結果、英語圏の人には
「ポカリさんの汗」
(+汗臭いイメージ付き)
という名前のトンデモ飲料として誤解されてしまっているわけです。
よりによってこれが飲み物の名前として使われているのですから、初めて見た人が拒否感を持ったとしても、ある意味仕方がないことでしょう。
日本でも「ぽかり君の汗」というネーミングで飲み物が売られていたら、さすがに飲むのはちょっと遠慮したくなります。
もしかしたら、我々には見慣れたパッケージの青色も、英語圏の人々にとっては、より汗のイメージを強めてしまっているのかもしれませんね。
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ポカリの商品名が及ぼす影響
日本での発売当時の反響
ポカリスエットのネーミングについては、日本で発売を開始した際にも、さまざまな反響があったようです。
そのうえ容器には「スエット=汗」の文字。商品名も少し、いやだいぶ奇妙だった。
摩訶不思議な味に加え、ブランドネームの「ポカリスエット」も消費者を驚かせた。なんといっても「スエット」=汗がネーミングに使われている。
出典:「ポカリスエット」"汗の飲料"をつくれ!
英語とはいえ「汗」ですから、飲み物につける名前としてどうなんだ、という意見が出てもおかしくはないでしょう。
ただ、日本での発売当初、ポカリは名前以外にも奇抜な要素がてんこ盛りの商品だったため、それらの要素に押されて、名前の奇妙さは影に隠れがちだったようにも思えます。
味:甘いジュース全盛期に甘くない味付けで売り出す
パッケージ:暖色パッケージが当たり前の時代に、売れないとされた寒色を使用
コンセプト:「汗の飲料」が斬新すぎて有用性が理解されなかった
ポカリは発売当時、あらゆる要素が斬新すぎてまったく売れず、消費者に受け入れられるまでにおよそ2年の歳月がかかっています。
ただ、そうなった要因は味やコンセプトによるところが大きいため、「名前による拒否感」は恐らくそれほどではなかったのでしょう。
事実、ポカリの美味しさや有用性が理解されてからは、この名前のまますんなり受け入れられていますからね。
そもそも、発売当時は日本がまだまだ英語慣れしていなかった時代ですし、和製英語だらけの日本では、安直ネーミングや意味不明な名前の商品は別に珍しくありません。
やはり、このネーミングについては、日本よりも英語圏のほうが影響は大きいでしょう。
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海外展開への影響
海外展開にも力を入れているポカリスエットですが、やはりこのネーミングのせいか、欧米などの英語圏での売り上げはいまひとつのようです。
美味しさを知ってもらうには、まず口にしてもらわないといけないのに、飲む前の段階から忌避される要素があるというのは、やはり戦略的にも厳しいのでしょう。
なお、アメリカでの苦戦については、ネーミング以外にも、ポカリより15年早く登場していたゲータレードが圧倒的なシェアを持っていることも影響しています。
とはいえ、英語圏ではない地域での売り上げは好調のようで、特に東南アジアでは、地道な販売戦略も手伝って、じわじわと売上を伸ばしています。
インドネシアでは、イスラム教文化の国であることを考慮して、「ラマダン(断食)明けのお供」としてポカリをCMで宣伝するなど、その国の文化を交えたマーケティングを展開。
その甲斐あってか、今ではポカリスエットがインドネシアの国民的ドリンクになるほどのシェアを獲得しているというから、驚きです。
最近では、英語圏以外の国への販促を強化していますし、大塚製薬さんも商品名的に英語圏では成功しづらいことを分かっているのでしょう。
いつか、英語圏でも売れるような戦略を編み出していただきたいですね。
まとめ
ポカリスエットという名前は、海外進出などをほぼ考えずに作られたものなので、英語では汗を連想させてしまうという痛い弱点を抱えています。
ネーミングで損をしている部分もありますが、英語圏以外ではヒットを飛ばしているので、きちんと飲んでもらって良さを理解してもらえれば、まだまだチャンスはあるように思えます。
どんなきっかけで人気が出るかは誰にもわからないので、いつかは英語圏の人々に対しても、飲みたくなるような上手い戦略が見出せるといいですね。
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